自立支援医療(精神通院医療)について
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challenged navi2020年12月2日
精神疾患の治療に掛かる医療費を軽減する公的制度
心身の障害に対する医療費負担を軽減する医療費補助の仕組みで、都道府県や指定都市が実施主体となり、市区町村役場の福祉係などが窓口となり運用されています。
自立支援医療制度には「精神通院医療(精神疾患の治療)」「更生医療(身体障害の治療など)」「育成医療(身体障害がある子どもの治療)」の三種類の制度がありますが、今回は精神通院医療についてご説明していきます。
精神疾患の治療は長期におよぶこともあり、その間の医療費は経済的にも精神的にも不安材料になり、負担になる事が多くあります。
自立支援医療制度の適用を受けることで医療面での経済的な不安を軽くすることができます。
自立支援医療(精神通院医療)対象となる方
何らかの精神疾患により、通院治療を続ける必要がある方が対象となり、次のようなものが含まれます。
(1)病状性を含む器質性精神障害
(2)精神作用物質使用による精神及び行動の障害
(3)統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害
(4)気分障害
(5)てんかん
(6)神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害
(7)生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群
(8)成人の人格及び行動の障害
(9)精神遅滞
(10)心理的発達の障害
(11)小児期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害
など
自立支援医療(精神通院医療)で発生する医療負担について
通常3割負担となる公的医療保険による医療費が、自立支援医療制度の適用を受けることで、原則1割負担まで軽減されます。
また、世帯所得(納税額)や診断内容に応じた区分により、ひと月あたりの自己負担額の上限が定められており、上限を超える分の医療費は原則負担なしとなります。
制度の対象になる医療は、「通院治療」「デイケア」「訪問看護」です。
上記いずれの医療を受ける場合でも適用に差異はありません。
世帯所得別の自己負担額は下記の表をご覧ください。
上記の表にある、『ひと月あたりの負担額』が、”上限5,000円”の場合を例とします。
病院での外来診療が1,500円、薬局での薬の処方が7,000円、合計8,500円がかかるものとします。
しかし、負担額の上限が”5,000円”となっているため、上限を超えた3,500円分については公費で支払われることになり、自己負担にはなりません。
また、上記の表にある『所得区分』が、”一定所得以上”の場合、”公費負担の対象外”となっていますが、医療費の自己負担額は1割負担となります。
なお、この場合でも医師の診断により「重度かつ継続」に該当した場合は、自己負担額の上限が設定されます。
自立支援医療制度(精神通院医療)の申請方法
自立支援医療制度(精神通院医療)の適用を検討する場合、まずは主治医に長期的な治療が必要か確認します。
長期的治療が必要と判断された場合には自立支援医療の申請を行いたいことを主治医につたえてください。
自立支援医療(精神通院医療)の申請は、必要書類をそろえてお住まいの市町村役場の福祉窓口(障害福祉課など)で行います。
POINT
自立支援医療(精神通院医療)は自治体の定めた「指定医療機関」でのみ制度の適用を受けられます。
かかりつけの病院や薬局が「指定医療機関」であるかは病院、薬局または福祉窓口にお問い合わせください。
自立支援医療(精神通院医療)の申請に必要な書類
自立支援医療(精神通院医療)の申請には以下の書類が必要です。
●自立支援医療申請専用様式
自立支援医療申請専用の様式を使って医師に記入してもらう必要があります。
また、「重度かつ継続」の場合は診断書の様式が通常と異なる場合もあります。
いずれの場合も事前に主治医に「自立支援医療の申請をしたい」旨を相談しておくとよいでしょう。
また入院は自立支援制度の対象外となります。
退院後、速やかに制度を適応できるように、入院中に担当医へ相談しておくとよいでしょう。
●健康保険証
●マイナンバーが判るもの
マイナンバー制度の施行にともない、申請書にマイナンバーの記入、確認が必要な場合があります。マイナンバーカードまたはマイナンバーの記載された住民票と写真付きの身分証明証をお持ちください。
●世帯所得を確認できる書類
課税証明書・非課税証明書や生活保護受給証明書など、所得状況を証明する書類です。
取得にあたっては役所により対応窓口が異なる場合がありますので、福祉窓口でご相談ください。
●自立支援医療費(精神通院)支給認定申請書
役所に用意してあるため、その場で記入を行うことができます。
記入の際、捺印が必要なので印鑑を忘れずに。
※申請方法については市区町村により異なる場合があるため、各市区町村役場のHPなどをご確認ください。
自立支援医療受給者証が届くまで
自立支援医療(精神通院医療)の適用を受けるためには、申請の際に交付される「自己負担上限額管理票」と、申請後に送られてくる「自立支援医療受給者証」の両方を医療機関などに提示しなければなりません。
受給者証が届くまでの間に通院等で発生した医療費は3割負担となります。
この場合は、受給者証が届くまでの間に負担した医療費の払い戻しを、受給者証が届いた後に申請することができます。
払い戻しの手続きは医療機関または役所で行います。
払い戻しに必要な書類
受給者証が届くまでに余分に負担した医療費の払い戻しには、次の書類が必要になります。
・受給者証
・自己負担上限額管理票
・医療費を支払った領収書の原本
なお医療機関や自治体によって必要書類などが異なる場合があるため、事前に医療機関や自治体にご相談ください。
また、「自立支援医療受給者証」が手元に届くまでの間は自立支援医療の申請書の控えを受給者証の代用として、「自己負担上限額管理票」とセットで提示することで制度が適用される場合があります。
「自立支援医療」の申請中である事を伝えた上で、医療機関・薬局にご相談ください。
自立支援医療制度(精神通院医療)の継続(更新)について
自立支援医療受給者証の有効期限は1年となっているため、1年ごとに更新する必要があります。
審査等のため、申請から結果を受け取るまでに2か月程度かかると言われていますので、更新手続きはある程度余裕をもって申請が必要です。
受給者証には有効期限が記載されており、有効期限終了の3か月前から主治医に再度申請用紙を記入してもらうことができます。
ただし病状や治療方針に大きな変更がない場合は2年に1回の更新でも認められることがあります。
更新は初回の申請と同じく、お住まいの市町村役場の福祉窓口(障害福祉課など)で行います。
継続(更新)の際には以下の書類が必要になります。
自立支援医療(精神通院医療)の継続(更新)について
自立支援医療受給者証の有効期限は1年となっているため、1年ごとに更新する必要があります。病状や治療方針に大きな変更がない場合は2年に1回の更新となることがあります。
更新時期に自治体窓口から案内が届きますので、案内に従って手続きを進めてください。
審査等のため、更新申請から結果を受け取るまでに自治体によっては2か月程度かかる場合がありますので、案内がきたら速やかに手続きを進めましょう。
受給者証には有効期限が記載されており、有効期限終了の3か月前から主治医に再度申請用紙を記入してもらうことができます。
更新をせずに有効期限が切れてしまった場合
有効期限終了までに更新手続きが完了できなかった場合は「再開申請」の手続きが必要になります。
また、期限切れから再開までの間に病院に行った場合の医療費は3割負担となります。
この場合は「受給者証が届くまで」と異なり、遡って医療費の払い戻しを受けることはできないため、注意してください。
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