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実用化に向けて動いている薬

トピックス2024年06月24日

2020年3月に条件付き早期承認が下りた、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの薬であるエクソン・スキップ薬(ビルトラルセン)の開発基盤が、自閉スペクトラム症の治療に役立つかも知れない。そんな朗報が入ったのは、2022年6月のこと。そこで、研究をしている青木吉嗣教授を訪ねてみました。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーからみた、自閉スペクトラム症の原因因子

 デュシェンヌ型筋ジストロフィーとは、DMD遺伝子の変異が原因で起こる病気です。国立精神・神経医療研究センターの青木吉嗣教授は、「私たちはゲノムDNAと呼ばれる遺伝子からタンパク質を作るのですが、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの患者はDMD遺伝子に変異をきたしています。最近の研究で、このDMD遺伝子が脳にも重要だということが分かりました。というのも、デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者の約3割で自閉スペクトラム症を合併するのです」と教えてくれました。

 古い寺を見ると、壁から屋根に斜めに方杖と呼ばれる柱を渡して補強しています。人にとって、屋根を筋肉とするなら、方杖はジストロフィンです。支えがなければ、筋肉は崩れてしまいます。「ジストロフィンにはDP427とよばれる長いものと、DP140とよばれる短いものがあります。これらが欠損するとデュシェンヌ型筋ジストロフィーを発症するのです。我々のマウス実験によって、短いDP140が欠損すると、他のマウスとの社会的距離感がうまくとれないことが分かりました。つまり、自閉スペクトラム症の症状と合致するのです。そのため、DP140の欠損が自閉スペクトラム症の原因のひとつではないかと考えられます」と青木教授。

特定された原因因子をどこに補足すればいい?

 青木教授は「自閉スペクトラム症では、脳の扁桃体に異常があることがしられています。脳では「興奮をつかさどる部分」と「抑制(興奮を抑える)をつかさどる部分」がバランスを取り合っているのですが、自閉スペクトラム症ではバランスが取れなくなっています。つまり、興奮しすぎると大声を出したり、もっとひどくなるとてんかんを起こしたりします。逆に、抑制しすぎると眠りっぱなしになったり、発語がなくなったりするのです。そこで、私たちは扁桃体に着目しました」と言います。

 実際、脳にある扁桃体は、恐怖や興奮などの感情をつかさどる中枢だとされています。「扁桃体にはDP140が強く現れることが分かりました。先に述べた、『DP140の欠損が自閉スペクトラム症の原因」という事実を思い出してください。自閉スペクトラム症の患者さんは、扁桃体に多くあるはずのDP140がありません。それが、他の人との社会的距離感が分からない原因なのではないかと仮説を立てることができます」と青木教授。

 これらのことから、自閉スペクトラム症を発症する原因のひとつである「DP140」を、脳の扁桃体に入れて、もしくは作ってあげればいいということが分かりました。

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