いくつもの障がいがあっても自立できる 「ちょっと変わった子」から画家へ
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トピックス2024年06月24日
語り: 画家 濱口 瑛士・母 濱口 園子
画家でありアーティストでもある濱口瑛士さんには、数多くの障がいがあります。しかし、それを乗り越えて個展を開いたり、絵本を描いたりと活躍をしています。そんな濱口さん親子に、時々の思いや子育てについて話を伺いました。
「ちょっと変わった子」だと思っていたら・・・
濱口 瑛士さんが抱えているのは、文字を書くことに困難があるディスレクシア、注意欠陥・多動症(ADHD)、自閉スペクトラム症、こだわりの強さや感覚過敏などが特徴のアスペルガー症候群などです。感覚や身体の動きなどをまとめ上げてなめらかに動かすための感覚統合療法を受けていた時期もあります。お母さんの濱口 園子さんは、「睡眠障がいや視機能障がいも合わせると、もう障がいの全部のせです」と明るく笑います。
濱口瑛士さんは「幼稚園の頃、自分は字を書くことができないので、人とは違うなとうすうす自覚はしましたが、それ以外の障がいを自分で気づくことはなかったですね」と言います。幼稚園の教諭から勧められて検査をしたことが、障がいを知るきっかけになったそうです。その時の思いを、お母さんが「私には子どもが1人しかいないので、誰かと比較することはできませんでした。ですから、うちの子は少しもじっとしていないし、我が儘でちょっと変わっているなとは思いましたが、子どもってそんなものかなと。障がいがあると考えたことなどなかったんです。ただ、幼稚園に行って驚いたのは、他のお母さんがお子さんに「やめなさい」と注意をすると、ちゃんとやめたこと。「ひと言注意しただけで、言うことをきくんだ」と驚きました。瑛士はすぐに興味がある方に行ってしまうので、ずっと抱っこをしていましたよ」と言えば、瑛士さんは「誰も私を止められないので、今まで大けがせずに生きてきたこと自体が奇跡だと思います」と言います。
発達障がいの診断が降りたのは、幼稚園に入って1年が経過した頃です。「その時はもうびっくりしました。どうしたものかと途方に暮れて・・・。ほとんど発達障がいなどの知識がなかったので、本を読みあさりました」とお母さん。