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知的障がいのある人にも「スポーツの場」という当たり前の機会を!

トピックス2024年09月24日

公益財団法人 スペシャルオリンピックス日本 前理事長 有森 裕子インタビュー

私たちは当たり前のように、体育の授業や部活、趣味などでスポーツに取り組みますが、知的障がいのある人にはそんな「当たり前」のチャンスが少ないのです。そんな彼らにスポーツをする場を提供しているのが「スペシャルオリンピックス日本」で、見る者にも勇気と感動を与えています。






知的障がいのある人なら誰でも参加できる

「スペシャルオリンピックス」とは、知的障がいのある人たちに、年間を通して、さまざまなスポーツトレーニングと競技の場を提供している国際的なスポーツ組織です。その歴史は、1962年に故ケネディ大統領の妹であるユニス・ケネディ・シュライバー夫人が、自宅の庭を開放して開いたデイ・キャンプから始まりました。当時はまだ、知的障がいがあるために、プールで泳いだり、トラックを走ったり、ボール競技をしたことがない人がいたのです。1968年には、ジョセフ・P・ケネディJr.財団の支援によって「スペシャルオリンピックス」の活動が始まり世界に広がっていきました。

日本では、1993年に熊本県の有志により設立され、1994年に「スペシャルオリンピックス国際本部」の承認を受け、「スペシャルオリンピックス日本」が発足しました。今では、47都道府県全てに広がり、約7000人のアスリートと、約9000人のボランティアが活動しています。また、競技も多種多様で、日本では夏季17競技、冬季8競技を実施しています。

スペシャルオリンピックス日本の広報は、「パラリンピックと混同されやすいのですが、パラリンピックは身体障がいのある方が中心で、トップアスリートが出場する国際競技会の名称です。

スペシャルオリンピックスは、知的障がいのある人たちにさまざまなスポーツトレーニングとその成果を発表する競技会を、年間を通じ提供している国際的なスポーツ組織です。競技会に限らず、日常的なスポーツトレーニングから世界大会まで、365日、さまざまな活動が行われています。こうした活動のムーブメント全体の名称がスペシャルオリンピックスです」と言います。






機会は全員平等に与えられるべき

2023年の3月まで理事長を務めていたのが、バルセロナオリンピックとアトランタオリンピックの女子マラソンメダリストであり、元プロマラソン選手でもあった有森 裕子さん。「2002年の東京ナショナルゲームで声を掛けていただき、大会のサポーターになりました。その時、『知的障がいのある人たちは、場を提供しないとスポーツをする機会が少ないんだ』と驚くと同時にショックだったのを覚えています。私自身、スポーツによってさまざまな可能性を引き出してもらいましたし、人間形成にも重要な役割を果たしましたから。それなのに、スポーツをするチャンスが少ないなんて、そんなことではいけないと思ったのです」と関わったきっかけを話します。

有森さんは股関節脱臼や鉄欠乏症貧血など、多くの困難を克服してメダリストになりました。その思いと、スペシャルオリンピックスでの活動に重ね合わせることがあるかと尋ねると、「知的障がいは克服できるものではありません。人の幸不幸は、何かをやる機会があるかないかだと思います。なぜなら、やる機会を得られなければ、能力を伸ばすことができず、最終的には、能力の不平等につながるのですから。

私たちは自分が求めるか求めないかに関わらず、学校に行って勉強をし、運動をし、部活をし、人との出会いがあって成長し、今の自分があります。ところが、 知的障がいのある人たちは『彼らにはできない』という固定観念で、それらの機会が少なかったのではないでしょうか。

 

<スペシャルオリンピックス日本>




バルセロナオリンピック銀メダル/アトランタオリンピック銅メダル 有森 裕子

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