ダウン症の当事者も健常者も、気持ちを明るくするキャラクターを目指して
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トピックス2024年11月11日
ダウン症のキャラクター・ニポとなかまたちをご存じですか?制作したのは、ダウン症の娘さん・アポちゃんを持つデザイナーのtamako☆さん。
「普通にかわいいキャラクターがいたと思って、様々な人に付けてほしい。付けたら、あ、ダウン症らしいと思ってくれたら」とキャラクターへの想いを聞かせてくださいました。
ダウン症のある人の中でも多様性があることを表したい
2015年にアポちゃんが生まれたことをきっかけに、同じくダウン症のお子さんを持つ友人と制作を始めたという「ニポとなかまたち」。tamako☆さんによると「娘にダウン症があると知った時、割とショックはありませんでした。なぜなら近しい友人がダウン症のあるお子さんを楽しそうに育てていたので、うちもあんな感じの子育てが始まるんだなというイメージでした。私たちの前職、テレビ局での経験を活かし、楽しいことをしようという話から、その友人が主催するイベントの手伝いをすることになった時に、気分が明るくなるようなキャラクター作成へと話が纏まったことが始まりです」。どういうキャラクターがいいか半年ほど悩みに悩み、ニポが生まれたそう。
「キャラクターを作るからには大勢の人に愛されるようにという想いがありますが、誰々ちゃんに似ている女の子などになると全然話が変わってしまう。ダウン症は体系的な特徴はありますが、そこを強めると、そこへの反発もあると感じました。ダウン症のある人はこういう人と限定することになるのは良くないなと。加えて性格や性質を表現しようと考えたときに人型ではない形に行きつきました。そして、ニコニコしている特性や、ずっと一つのことに取り組んでいる特性など、褒められる性格、特徴はダウン症のある人の中でも多様で、それを表せるよう3人組として生まれました」と誕生ストーリーを教えてくれました。
ニポをダウン症のある人だけのものにはしたくない
「アポもそうですが、この子が果たしてダウン症かどうかということは、重要視するところなのかと常々考えています。スペシャルニーズがある人には、ヘルプがいるシーンはありますが、そうでないシーンに特別な区別をすることは私の中では疑問がありました。ニポを手に取って当事者の方が喜んでくださるのも、もちろんとても嬉しいのですが、『私はダウン症なのでどうこうしてください』というメッセージとして使いたいわけではなく、世の中に流行っている、かわいいキャラクターの一つがダウン症だったみたいな方が嬉しいです。アポは普段から学校にニポのTシャツを着て行くのですが、学校の友達からこれなに?と聞かれると、ママが作ったと言ってくれるようで、そういった時にお友達がかわいいと思ってくれたらいいなって。
ディック・ブルーナさん作・車椅子の女の子の絵本『ろってちゃん』のキャラクターが障がい者支援活動に使われていることを知った時は、人に寄り添いつつ、お知らせしつつ、普通に馴染んでいる、この立ち位置をニポにも持たせたいと考えました」と世の中に愛されるキャラクターとなるための想いを話します。
バディウォークや本を鮮やかに彩るニポたち
ニポのデビューは2016年に渋谷で行われたバディウォークでした。バディウォークの規模拡大に向け、パレードを見ごたえあるものにするために大活躍。「バディウォークのために作ったわけではなく、今年のキャラクターという形でメインのバルーン以外に、公式Tシャツも作りました。バディウォークでデビューということでメディアにも大々的に取り上げていただきました。当事者の皆さんからはお子さんがとても喜んでいたという声を頂きました。他にも、ダンスチームのTシャツをニポにしたいという声や、お揃いでグッズを作りたいという反響が多かったです。ニポたちは、ダウン症の当事者も健常者も気持ちを明るくするとか、障がいがある方ってかわいそうとか諦めがちのようなイメージを払しょくするものになれると感じました」とtamako☆さん。
tamako☆
武蔵野美術大学を卒業後、テレビ朝日に入社。数々の番組セットのデザインなどを手がけた。2008年に独立し、現在はフリーで舞台などのセットデザインやイベントの企画プロデュースなどを行っている。ニポとなかまたち
https://ds-smileproject.amebaownd.com/pages/663591/Niepe_and_friends