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うつの療養中の過ごし方|時間帯別・回復段階別の目安をやさしく解説


2026年09月23日

気づいたら夕方になっていて、「今日も何もできなかった」と思う。そんな一日を重ねている方に、まずお伝えしたいことがあります。療養中の「何もしていない時間」は、空白ではありません。それ自体が、回復のために必要な時間です。

この記事では、うつの療養中の過ごし方を「朝・日中・夜」の時間帯別と「回復の段階」別の2つの視点から整理し、使える制度や、一人での療養がつらくなってきたときの選択肢もご紹介します。「これはできそう」と思えるものが一つ見つかれば十分です。

朝日を浴びるためにカーテンを開ける男性

うつの療養で「過ごし方」が大切だと言われる理由

休むことそのものが治療の一部

うつ病の治療には「休養」「薬物療法」「精神療法・カウンセリング」という3つの柱があり、使いすぎた脳をしっかり休ませることが治療の基本とされています。

つまり「休んでいるだけ」に見える時間は治療の一部で、何も成し遂げていない日にも回復に向けた時間は進んでいます。うつ病そのものについてはうつ病のある方の自立訓練について解説した記事もご覧ください。

過ごし方は回復の段階によって変わる

「療養中はこう過ごすべき」という正解はありません。ほとんど動けない時期に散歩を目標にすれば苦しくなりますし、動けるようになった時期に横になり続けると気分が沈むこともあります。今の自分がどのあたりにいるかを大まかにつかみ、それに合わせて調整する。それで十分です。

一人で決めず、主治医と相談しながら

この記事の内容は一般的な目安で、体調の波も動ける範囲も人によって違います。うつ状態の原因や重さの判断、診断は医師が行うものです。活動を増やす時期や、外出・運動を始めてよいかは必ず主治医に相談してください。

服薬も、元気が戻ってきたからと自己判断でやめると再発につながることがあり、薬を減らすタイミングは主治医とよく相談することが大切だとされています。適応障害など別の診断の方も、受診を続けながら過ごし方を組み立てる考え方は同じです。

療養中の基本になる3つのこと

睡眠のリズムを大きく崩さない

うつ病などの精神疾患では、不眠の症状と眠りすぎてしまう症状のどちらも高い確率で併存し、睡眠休養感(睡眠で休養がとれている感覚)が慢性的に得られにくいことがあります。眠れないことも眠りすぎることも、意志の弱さではなく症状です。

目標は毎日同じ時刻に寝起きすることではなく、起きる時刻が大きくずれない程度で十分です。整え方は生活リズムを整える方法について解説した記事もご覧ください。

食事は「食べられるものを」から

食欲の低下はうつの症状の一つです。栄養バランスを気にする前に、まず口に入るものを入れる、で十分です。一方で、朝食を抜く習慣が続くと体内時計が後退し、寝つきの悪化を通じて睡眠不足につながりやすいとされています。三食そろえる必要はありません。朝に一口食べられる日があれば前進です。

光を浴びる時間をつくる

体内時計を合わせるうえで大きな働きをするのが環境の光です。目(網膜)に入った光が体内時計の時刻を整え、朝の光は朝型の方向へ、夕方から深夜の光は夜型の方向へ動かします。外に出る必要はありません。カーテンを開け、その光が届く場所にいるだけでも意味があります。

時間帯別の過ごし方

朝:起きられなくても、まずカーテンを開ける

朝がいちばんつらいという方は少なくありません。それは体調の波であって、気持ちの持ちようの問題ではありません。無理に起き上がる必要もありません。

ただ、手が届くならカーテンだけ開けてみてください。起床後に朝の光を浴びると体内時計はリセットされ、睡眠と覚醒のリズムが整いやすくなります。朝起きることが難しい場合に、ご家族がカーテンを開けるという方法も挙げられています。朝の起きづらさがつらい方は、朝起きられない背景と対処について解説した記事もご覧ください。

日中:横になっていい時間と、少し動く時間

日中ずっと横になっていても大丈夫な時期があります。休養が必要な段階だというだけのことです。少し動けそうな日は、家事を一つだけやってみる程度で十分です。

ウォーキングなどの有酸素運動は寝つきを良くし睡眠の質を高めると報告されていますが、主治医と相談しながら習慣にしていくもので、体調によっては負担にもなります。散歩はあくまで選択肢の一つです。

なお、必要以上に寝床で長く過ごすと、寝つくまでに時間がかかる、途中で目が覚める回数が増えるなど、眠りの質はかえって低下します。横になるなら寝床ではなくソファ、というのも一つの方法です。

夜:眠れないときの考え方

眠気が来ていないのに無理に眠ろうとすると、かえって脳の興奮が高まり寝つきが悪くなります。寝つけないときはいったん寝床を離れ、静かで暗めの安心できる場所で眠気が訪れるのを待ち、それから寝床に戻る方法が挙げられています。

また、就寝の約2時間前から眠りを促すホルモンであるメラトニンの分泌が始まるため、それ以降に照明やスマートフォンの強い光を浴びると分泌が抑えられ、入眠が妨げられます。寝室にスマートフォンを持ち込まず、できるだけ暗くして寝ることがすすめられています。眠れない夜そのものを失敗と考えないでください。

工夫を続けても不眠が長引くときは、背景に睡眠障害が隠れていることもあります。医療機関に相談してみてください。

回復の段階に合わせた過ごし方

段階の呼び方に厳密な医学的定義はありません。以下は大まかな目安です。

休養が中心の時期

一日のほとんどを横になって過ごし、食事も入浴も負担に感じる時期です。すべきことは休むことだけ。予定を立てない、連絡を返さない、それでかまいません。通院と服薬が続いていれば十分です。

少しずつ動けるようになる時期

「少し退屈だな」と感じる瞬間が出てきたら、体力が戻りはじめているサインかもしれません。一気に増やさず、一日に一つだけ何かをする程度から試すのも一つです。うつの状態では、通常なら楽しかったことにも喜びを感じにくくなります。意欲や集中力が戻るのは体力のあとです。

生活を組み立て直す時期

日中に起きていられる時間が増え、外出も少しずつできる時期です。ここで復職や再就職が視野に入りますが、強い不安が出るのは自然なことです。社会復帰が怖いと感じるときの考え方を解説した記事もご覧ください。

段階は行きつ戻りつするもの

回復の経過は右肩上がりには進みません。良くなったり悪くなったりという小さな波をもちながら、階段をゆっくり1段ずつ上るように改善していくと説明されています。「先週はできたのに」と自分を測らないことが、いちばんの助けになります。

療養中に避けたい過ごし方

「回復したから」と一気に活動を増やす

調子が上向いた日にたまった用事を片づけようとして、反動で数日動けなくなる。よくあることです。良い日はいつもの2割増し程度にとどめると、波は小さくなります。

大きな決断をする

こころの病気では心理的な視野狭窄が起き、悲観的な発想しか浮かばず、その道しか残されていないようにとらえてしまうことがあります。急ぎでない決断は、体調が安定してからで間に合います。

情報を集めすぎる・比べすぎる

闘病記や回復の記録を読みあさると「自分だけ遅れている」と感じやすくなります。回復のペースは人それぞれです。調べる時間を決めておくだけでも消耗は減ります。

自分を責める時間を増やす

「働いていない」「家族に迷惑をかけている」という罪悪感は、療養中の多くの方が抱えます。ただ、周囲の気遣いに応えられない自分を責める気持ちは、症状によって強められている面があります。焦りが強く出る時間帯があれば、その時間に別のことをするのも一つです。詳しくは気分の落ち込みへの対処法を解説した記事をご覧ください。

暮らし方別の工夫

一人暮らしの場合

誰にも会わない日が続くと生活のメリハリが失われやすくなります。買い物で一日一度は人と接する、決まった時間に窓を開けるなど、外側からリズムを与える工夫が助けになります。食事の用意が負担なら、冷凍食品や宅配食を使うのも立派な対処です。

ご家族と暮らしている場合

同居していると、休んでいる姿を見られること自体が負担になることがあります。日中に一人になれる時間や場所を決めておくと気持ちが楽になります。「今日は話せる/そっとしておいてほしい」を伝える合図を決めておくのも一つの方法です。

ご家族が接するときに気をつけたいこと

ご家族にお願いしたいのは、まず励まさないことです。すでに頑張りすぎて病気になっている場合、励まされることで「これ以上頑張れない」「何もできない自分は情けない」と感じ、症状が悪化することがあります。

気分転換の旅行や外出も、エネルギーが消耗している時期にはかえって疲労感を増すことがあり、本人が楽しみたくなる気持ちが湧くのを待つほうがよいとされています。かわりに、生活の負担を一つ引き受ける、朝にカーテンを開ける、話したくなったら聞く姿勢を伝えるといった関わりが力になります。ご家族自身が疲れたときも相談窓口を利用できます。

療養中に使える制度と相談先

自立支援医療(精神通院医療)

精神疾患で継続的な通院が必要な方の医療費を軽減する制度です。気分障害など幅広い精神疾患が対象で、症状がほとんど消失している方でも、軽快状態を維持し再発を予防するために通院を続ける必要がある場合は対象です。

自己負担は原則1割で、さらに所得に応じて1か月あたりの上限額が設定されます。さいたま市の申請窓口は各区役所の支援課障害福祉係で、受給者証の有効期間は1年、継続申請は有効期限の3か月前から可能です。必要書類は所得の状況などで変わるため、事前に窓口へご確認ください。

傷病手当金

勤務先の健康保険に加入している方が、業務外の病気で働けない期間の生活を支える制度で、自宅療養の期間も対象です。連続する3日間の待期を経て4日目以降が対象となり、支給期間は支給開始日から通算して1年6か月。1日あたりの金額は、支給開始日以前の標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2が目安です。

ここでは協会けんぽの内容をもとにしています。加入先により取扱いが異なる場合があるため、詳細はご自身の保険者にご確認ください。

精神障害者保健福祉手帳・障害年金

手帳は、精神疾患のために長期にわたり日常生活または社会生活に制約がある方が対象で、等級は1級から3級、有効期間は2年です。申請には、初診日から6か月を経過した日以後で、かつ申請日から3か月以内に作成された診断書などが必要です。さいたま市の申請先は、お住まいの区の区役所支援課障害福祉係です。

障害年金は、病気やけがで生活や仕事が制限されるようになった場合に受け取れる年金です。初診日に国民年金に加入していれば障害基礎年金、厚生年金なら障害厚生年金を請求でき、いずれも保険料の納付要件などの条件があります。年金額は年度ごとに改定されるため、日本年金機構の最新情報でご確認ください。

自治体の相談窓口

つらさが強いとき、一人で抱え込む必要はありません。さいたま市こころの健康センターは精神保健福祉相談(048-762-8548)を受け付けており、「話をして気持ちを整理したい」段階で使える「こころの電話」(048-762-8554)もあります。いずれも平日9時から17時まで(祝日・年末年始を除く)です。

全国共通の窓口としては、厚生労働省の「こころの健康相談統一ダイヤル」(0570-064-556)があります。対応の曜日・時間は都道府県によって異なります。

一人での療養に限界を感じたら

「通う場所」があることの意味

休養が必要な時期を過ぎても自宅だけで過ごす日々が続くと、生活が固まってしまうことがあります。起きる時間が定まらない、人と話す機会がない、一日の区切りがつかない。この状態から一人で抜け出すのは、意志の問題ではなく単純に難しいことです。

そこで選択肢になるのが、決まった時間に通う場所です。行き先があれば起床時刻が決まり、外に出るので光を浴び、人と言葉を交わす機会も生まれます。

自立訓練(生活訓練)という選択肢

自立訓練(生活訓練)は、障害者総合支援法にもとづく障害福祉サービスです。生活リズムを整えたり対人関係のスキルを身につけたりと、生活の土台をつくる訓練を受けられます。

対象には、継続した通院により症状が安定している方などが含まれ、標準利用期間は24か月、長期入院をしていた方などの場合は36か月です。利用者のうち精神障害のある方が約3分の2を占めるサービスでもあります。運用は自治体により異なるため、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口にご確認ください。期間の仕組みは自立訓練(生活訓練)の利用期間は?原則2年の仕組みと延長の条件を解説で詳しく解説しています。

メルディアライフネスト浦和の1日とプログラム

埼玉県さいたま市浦和区のメルディアライフネスト浦和は、自立訓練(生活訓練)の事業所です。1日の流れは、10時に通所して朝礼、10時10分から12時が午前のプログラム、12時から13時が昼休憩、13時から15時が午後のプログラム、15時から15時30分が振り返りと帰宅。朝早く家を出なくてよい10時スタートは、療養明けの方にも通いやすい設計です。通所日数や時間は個別支援計画に応じて調整できます。

プログラムは10種類です。ライフプログラム、ライフシミュレーショントレーニング、SST、集団認知行動療法、コネクトプログラム、グループワーク、クリエイティブタイム、フィジカルプログラム、ITスキル(基本操作、Officeソフトの習得などを目指したPCスキルアップ講座)、CSP(社会生活を円滑に送る上で役に立つ情報の個別学習プログラム)。療養中の方は、ライフプログラムや負担の少ないクリエイティブタイム、CSPから始める組み立て方もできます。

出発点は独自の評価指標EQS(生活能力評価)です。「心のしなやかさ」「コミュニケーション能力」「困難に立ち向かう力」の3軸で今の状態を見える化し、その結果をもとにマンツーマンのオーダーメイドプログラムS.I.P(Self-Insight Program)を組み立て、自己理解を深めながら豊かな社会生活に向けて症状への対処法を身につけていきます。個別支援計画はおおむね3か月ごとに見直します。看護師・臨床心理士・精神保健福祉士・社会福祉士などの専門資格をもつ多職種のスタッフが在籍しており、体調を相談しながら通えます。

同事業所では、2年間で就職や進学に向かう生活力を身につけることを原則としています。自立訓練の枠組みの中で就職活動のサポートまで一貫して行うため、自立訓練単独で就職までたどりつけるのが特徴です。就職までにもっとトレーニングを積みたい方は、グループ内の就労移行支援メルディアトータルサポートへ次のステップとして進むこともできます。

うつの療養中の過ごし方に関するよくある質問

Q. 療養にはどのくらいの期間がかかりますか。

経過には大きな個人差があり、期間を数字でお伝えすることはできません。回復は小さな波を伴うものと理解し、見通しは主治医にご確認ください。

Q. 昼まで寝てしまいます。無理にでも早く起きるべきでしょうか。

無理に起きる必要はありません。ただ、起床時刻が日によって大きくずれると体内時計は乱れやすくなります。起きられた日にカーテンを開けるところからで十分です。

Q. 何もしていない自分に罪悪感があります。

療養中は休養そのものが治療の一部です。罪悪感が強く出るのは症状の影響でもあるため、まずは主治医に伝えてみてください。

Q. 外に出るのが怖いです。通う場所を考えるのは早すぎませんか。

見学や相談だけでもかまいません。決める前に話を聞いてみる、という使い方ができます。

まとめ

うつの療養中の過ごし方に一つの正解はありません。時間帯で見れば、朝はカーテンを開けて光を浴びること、日中は横になる時間と少し動く時間を分けること、夜は眠れないことを失敗と考えないこと。回復段階で見れば、休養が中心の時期は休むことに専念し、動けるようになったら一日一つずつ試すこと。この程度の目安で十分です。

避けたいのは、調子の良い日に一気に活動を増やすこと、大きな決断をすること、自分を責める時間を増やすことです。費用や生活が不安なときは、自立支援医療や傷病手当金が支えになります。

一人での療養に限界を感じたときには、決まった時間に通う場所という選択肢があります。今すぐ決める必要はありません。そういう場所があると知っておくだけで、選択肢は一つ増えます。

メルディアライフネスト浦和では見学・無料相談を受付中です。お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ:https://mlda.jp/mlninquiry/

この記事はメルディアライフネスト浦和のスタッフが監修しています。

出典一覧

※1 厚生労働省「こころの耳」うつ病の治療と予後

https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad003

※2 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」

https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf

※3 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」

https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-01-004.html

※4 厚生労働省「こころの耳」うつ病の主な症状と原因

https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad002

※5 厚生労働省「こころの耳」ご家族にできること

https://kokoro.mhlw.go.jp/families

※6 厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)の概要」

https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsu/seishin.html

※7 厚生労働省「自立支援医療における利用者負担の基本的な枠組み」

https://www.mhlw.go.jp/content/001718390.pdf

※8 さいたま市「自立支援医療費(精神通院医療)支給制度について教えてください。」

https://www.city.saitama.lg.jp/faq/001/002/001/p110352.html

※9 全国健康保険協会「傷病手当金」

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/injury_and_sickness_allowance/index.html

※10 埼玉県「精神障害者保健福祉手帳」

https://www.pref.saitama.lg.jp/b0606/p-techou.html

※11 日本年金機構「障害年金」

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/jukyu-yoken/20150401-01.html

※12 さいたま市「さいたま市こころの健康センター 相談のご案内」

https://www.city.saitama.lg.jp/008/016/009/p118376.html

※13 厚生労働省「まもろうよ こころ」

https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/

※14 厚生労働省「自立訓練に係る報酬・基準について」(第40回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 資料4)

https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001159439.pdf

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