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医学シリーズ3自閉スペクトラム症 自閉スペクトラム症の症状改善に~オキシトシンで立ち向かう医師~

トピックス2024年08月19日

自閉スペクトラム症のお子さんは、オキシトシンの働きが弱いとされています。場の空気や顔色が読めない、コミュニケーションが苦手な理由はそこにあるという仮説もあります。これを解決しようと、3年前からオキシトシン治療を行っているルークス芦屋クリニックを訪ねました。

3~4割に効果が認められたオキシトシン治療

 オキシトシンとは、脳の視床下部で作られ、脳下垂体を介して血中に出てくるホルモンの一種で、抗ストレス作用や摂食抑制作用などがあります。分娩時に子宮の収縮を促したり、乳腺を刺激したりして乳汁分泌を促すため、愛情ホルモンとも呼ばれています。未解明の部分が多いものの、自閉スペクトラム症の症状にはオキシトシンの機能不全が関わっているとされ、治療の手段として用いている医師もいるのです。

 その一人、ルークス芦屋クリニックの城谷昌院長は、「場の空気や顔色が読めなかったり、コミュニケーションが苦手だったりする理由は、オキシトシンによるものではないかという仮説があります。つまり、分泌量が少なかったり、遺伝的にオキシトシン受容体(ホルモンを受け取る機能に問題があったりするということです。確かにオキシトシン受容体のタンパク質をつかさどる遺伝子を見ると、遺伝子多型(遺伝子を構成するDNAの配列が変化している状態)のあるお子さんがいます。経験上ですが、そういう方は、オキシトシン治療で効果があるようです」とのこと。

 実は、自閉スペクトラム症におけるオキシトシン治療は、過去、臨床研究がなされました。「臨床研究では有意差が出ないと結論づけられたのですが、実際に当クリニックで治療をしてみると、効く方は劇的に変化します。もちろん、まったく効かない方もいます。とはいえ、オキシトシン治療をしても副作用はありませんから、試してみる価値はあるのではないでしょうか」と城谷院長。ルークス芦屋クリニックの患者さんで効き目が認められたのは、3~4割ほどだそうです。

オキシトシンが増えれば他者と関わることができる

 ルークス芦屋クリニックでは、自閉スベクトラム症の患者に対して、オキシトシンを使ってどのように治療をしているのでしょうか。城谷院長に伺ってみした。「オキシトシン治療は自由診療です。ですから、診察をして、患者さんと信頼関係が築けたら「効果があるかどうかは分からないけど、試してみますか?」とおすすめして、アメリカから取り寄せている錠剤をお分けしています。当クリニックには心理士もいるので、その見立ても参考にしながら、自閉傾向が強い方にお勧めしている状況です」とのこと。モノには関心があるけれど、人には関心が薄い場合には効果が高いそうです。城谷院長は「1日1回、錠剤を飲んでいただくのですが、1~2日で変化を感じられると思います。あまり変化が出ないようなら、量を増やすか、効果が無いとして服用を止めるか、選択していただきます。親御さんによっては、保育園などに連れて行く日だけ飲ませるなど工夫している方もいらっしゃいます。

 3年間で30人ぐらいに処方したでしょうか。イライラしなくなって穏やかになるだけでなく、それまで抱っこを嫌がっていた子が、抱っこできるようになったり、手をつなぐようになったり。一人遊びしかできなかった子が、仲間の輪に入って友達と遊べるようになったり。先生や他のお母さんに挨拶をするようになったり、他者への関心が高まったという声をいただいています。他者と関わるということは、それによってその子自身の学びが増えるので、成長にとっては重要だと思います」と言います。

 さらに、「私の仮説ですが、抱っこされたり、手をつないだりとスキンシップが増えれば、自分でもオキシトシンを出せるようにななるのではないでしょうか。いつまでも楽に薬に頼るのではなく、自分で十分な量のオキシトシンを出せるまでの補助的な薬だと考えています」とも教えてくれました。

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