ワイナリーで働き、いきいきと生活するこころみ学園生たち!
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トピックス2024年11月5日
“人生に必要なものは山が与えてくれる”
ココ・ファーム・ワイナリーのワインは、2000年に開催された九州・沖縄サミットの晩餐会、2008年の北海道洞爺湖サミットの夕食会、2016年のG7広島外相会合の晩餐会などで使われています。造っているのは、知的障がい者が生活を共にする「こころみ学園」の皆さんです。
中学教師の「こころみ」がワイナリーに成長
ココ・ファーム・ワイナリーの始まりは、1958年のこと。当時、足利市内で特殊学級の教員をしていた川田 昇が、自ら山の斜面を買い取り、開墾を始めたのです。(有)ココ・ファーム・ワイナリーの取締役を担っている池上 峻さんは「川田が教員をしていた頃、教室の隅っこで小っちゃくなっている生徒がいたそうです。今で言えばいわゆる知的障がいの子どもたちは、家でかくまわれるように過ごしていたため、何もできないし、無気力だったのだとか。そんな姿を見て、川田は『何とか一人前にしなきゃ』と考えました。
川田の実家は隣町の佐野市で農家を営んでいました。小学校にあがる前から畑の手伝いをしていたため、小学校入学時に自分の名前すら満足に書けなかったそうです。だからこそ、自分が教師になったとき、教室の隅で小さくなっている子どもを見て自分の幼少期と重なり、この子たちと一緒に生きていこうと思ったのだそうです。
机の上の勉強が苦手でも野良仕事をしてもらえれば、きっと何か身に付くことがあるだろうと、山の斜面を購入したと聞いています。
最初は川田と10人弱の生徒が、課外授業としてブドウ畑を開墾したと聞いています。この小さな『こころみ』が、ココ・ファーム・ワイナリーのスタートです」と教えてくれました。
柔らかな赤ちゃんの手からたくましい農業従事者の手へ
山の斜面に来た子どもたちは、どのように成長していったのでしょう。「子どもたちは、山に着いた途端にピクニック気分でうれしくなり、駆け回っていました。その傍らで川田が木を切り倒すと、ものすごい音と振動、地響きがします。驚いた子どもたちは、『やってみたい』と言いだし、見よう見まねで山仕事を始めました。
最初に山に連れて行ったとき、子どもたちの手は、まるで赤ちゃんのような柔らかな手でした。それは、何も経験してこなかった手です。ところが、好奇心が赴くままに山仕事をやっていくと、何度もマメができてはつぶれ、シワが立派に刻まれ、農業従事者の手に成長していきました。手とともに、体も心も生活力も鍛えられていったのです。
ココ・ファーム・ワイナリー
住所:栃木県足利市田島町611
電話:0284-42-1194
HP: https://cocowine.com
ワインショップ営業時間:10:00~18:00
(テイスティングは17:00まで)
カフェ営業時間:平日 11:00~16:00(15:30L.O)
土日祝日 11:00~17:00(16:00L.O)
休み:年末年始、1月第3月曜日から5日間、
11月収穫祭前日から3日間