ANiSA会長 斎藤利之が語る-知的障がい者スポーツ(IDスポーツ)のおかげで、世界が開けた!!
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トピックス2025年03月10日
一般社団法人全日本知的障がい者スポーツ協会(略称、ANiSA)は、パラリンピックや世界トップクラスのパラアスリートが集まるVirtusという大会への出場をめざす選手たちの競技力向上や環境整備などの支援をしているのが特徴です。ANiSAの活動や、世界大会をめざす上で必要なことなどについて、斎藤氏にうかがいました。
IDスポーツのシンボリック的な存在を生み出したい
「野球でいうと大谷翔平選手のような、シンボリック的な存在をIDスポーツの世界でも生み出したいんです」。
そう斎藤氏は話します。
「パラリンピックなど障がい者スポーツの認知度は以前より高まってきました。しかし、まだIDスポーツの選手がテレビのバラエティ番組に出るなんてことはほとんどありません。
パリパラリンピックでは、卓球女子知的障がいのクラスで和田なつき選手が優勝しました。このように、誰でも世界をめざすことはできます。まずはそのことを知ってほしいのです」。
上をめざしたいという子に対しても、できる限りの支援を行う
「以前に比べたら、知的障がい者がスポーツできる機会は増えてきました。昔は施設を借りようとしても断られてしまうなどは、ごく普通でした。しかし現在はそのようなこともありませんし、ANiSAの加盟団体のようなIDスポーツの支援を行っている団体も増えています。スポーツをするのは楽しい、でももっと上をめざしたい。そのような夢を持つ子に対して、ANiSAではパラリンピックに出場できるようにするなど、できる限りの支援を行っています」。
より多くの知的障がい者が活躍できるフィールドを広げたい
実際にANiSAでは、どのような活動を行っているのでしょうか。「大きく分けて、3つほどあります。一つ目は、スポーツができる環境整備。施設などは借りられるようになりましたが、知的障がい者に対しての理解が不足していると感じる場面は多々あります。そのため、メディアなどに出演することで、知的障がい者に対しての理解を深めていただく。社会の理解が進めば、より多くの知的障がい者が気軽にスポーツに取り組めるようになると思います。
二つ目は、スポーツをしたいと考えている、知的障がい者本人やご家族に対してのサポートです。スポーツをしたいと思っても、どのようなスポーツが自分には適していて、どこに行けば練習できるのかわからない。そのような方々向けに、ANiSAが窓口となって本人に向いているスポーツや団体を紹介し、つなげてあげる。そうすることで、障がい者スポーツに対する知識が全くない人でも、比較的簡単にスポーツを始められます。
最後に、Virtusやパラリンピックをめざす人たち向けの支援です。Virtusと近しい組織に公益財団法人スペシャルオリンピックス日本(SON)がありますが、SONは国際パラリンピック委員会(IPC)との関係がないため、パラリンピック出場への道が基本的にはありません。そのため、Virtusのカウンターパートである、ANiSAが選手や役員の派遣推進をする必要があります」。
一般社団法人全日本知的障がい者スポーツ協会会長 斎藤利之
Virtus(INAS)Asiaスポーツディレクター公認上級パラスポーツ指導員、(公社)日本発達障害連盟理事保護司、東京大学非常勤講師 他一般社団法人全日本知的障がい者スポーツ協会
知的障がい者の運動・スポーツの普及・振興を図るため、2018年4月より本格的に活動を開始。Virtusが主催する国際大会への派遣を行うなど、国内のみならず、国際的な活動にも注力している。
https://www.anisa.or.jp/