自立訓練(生活訓練)の対象者は?発達障害・精神障害・知的障害など利用条件を解説
自立訓練(生活訓練)は、障害者総合支援法第5条第12項に定義される「障害福祉サービス」の一つで、障害のある方が自立した日常生活または社会生活を営むことができるよう、生活能力の維持・向上のために必要な訓練を行うサービスです(※1)。
厚生労働省が示す資料では、対象者として「地域生活を営む上で、生活能力の維持・向上等のため、一定期間の訓練が必要な障害者」が挙げられ、具体例として以下が示されています(※2)。
入所施設・病院を退所・退院した方
特別支援学校を卒業した方
継続した通院により症状が安定している方 等
この記事では、厚生労働省の資料に沿いながら、自立訓練(生活訓練)の対象者について、障害の種類・年齢・手帳の有無・生活状況などの観点から整理します。「自分は利用できるのか?」という疑問に、制度基準に近い形でお答えします。

自立訓練(生活訓練)の対象者とは
厚生労働省が定める対象者の定義
障害者総合支援法にもとづく自立訓練(生活訓練)の対象者は、「地域生活を営む上で、生活能力の維持・向上等のため、一定期間の訓練が必要な障害者」とされています。具体的には、入所施設・病院を退所・退院した方や、特別支援学校を卒業した方、通院により症状が安定してきた方など、地域での自立した生活を目指している方が対象です(※2)。
日常生活における基本的な動作や生活習慣の確立に困難を抱えており、一定の支援を受けながら自立した生活を目指す方を広く対象としています。
具体的にはどんな方が利用しているのか
一口に「障害のある方」といっても、対象はとても幅広いです。うつ病や統合失調症などの精神障害、ADHDやASDなどの発達障害、知的障害、高次脳機能障害、難病など、さまざまな状態の方が自立訓練を活用しています。
自立訓練の制度全体について詳しくは、「自立訓練(生活訓練)事業所とは?対象者・費用・プログラム・利用の流れをわかりやすく解説」(記事番号1)をご参照ください。
対象となる障害の種類
平成30年4月の制度改正で対象が拡大
自立訓練(生活訓練)の対象は、もともと「知的障害・精神障害」の方に限定されていましたが、平成30年(2018年)4月の障害者総合支援法施行規則改正により、障害種別を問わず利用可能になりました(※2)。
つまり現在は、精神障害・発達障害・知的障害だけでなく、身体障害・高次脳機能障害・難病等のある方も、生活能力の維持・向上のための支援が必要であれば自立訓練(生活訓練)を利用できる制度設計になっています。ただし、実際にどの障害のある方が利用できるかは、事業所ごとの支援体制や個別の状況により判断されるため、見学・相談時に確認することをおすすめします。
発達障害(ADHD・ASD・LD)のある方
注意欠如多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)、学習障害(LD)をはじめとする発達障害のある方は、生活リズムの維持や感情のコントロール、人との関わり方などに困難を感じることがあります。
自立訓練では、こうした困りごとに対してSST(ソーシャルスキルトレーニング)や生活スキル習得プログラムを通じて、日常生活での実践的な力を高めていきます。
精神障害(うつ病・統合失調症・双極性障害など)のある方
うつ病・統合失調症・双極性障害・適応障害など、さまざまな精神障害のある方が利用しています。症状が安定してきたものの、生活リズムが崩れていたり、外出そのものが難しかったりする時期に、自立訓練への通所が生活の軸づくりに役立ちます。
精神科への通院歴がある方や、服薬をしながら日常生活の立て直しを図っている方も、対象になる場合があります。
知的障害のある方
知的障害のある方も、自立訓練の対象です。日常生活の動作・金銭管理・コミュニケーションなど、社会参加に必要なスキルを個別支援計画にもとづいて習得していきます。
特別支援学校を卒業した方や、入所施設から地域生活に移行する方にとっても、自立訓練は生活の基盤づくりの場として機能します。
高次脳機能障害・難病のある方
交通事故や脳卒中などによる高次脳機能障害のある方、あるいは障害者総合支援法の対象疾病に指定されている難病をお持ちの方も、平成30年の制度改正以降、自立訓練(生活訓練)を利用できます(※2)。
高次脳機能障害では、記憶・注意・遂行機能などに影響が出やすく、日常生活の各場面での支援が必要になることがあります。自立訓練ではこうした方の状態に合わせた個別プログラムを組むことが可能です。
対象者の具体例|こんな方が利用しています
入所施設・病院を退所・退院した方
精神科病院や入所施設での生活を経て地域生活に戻ろうとしている方にとって、自立訓練は重要なステップです。長期入院・入所後は、日常生活の感覚が薄れていたり、生活習慣が乱れていたりすることも少なくありません。
自立訓練での通所を通じて、食事・睡眠・外出といった基本的な生活リズムを段階的に取り戻すことができます。
特別支援学校を卒業した方
特別支援学校の卒業後すぐに就労することに不安を感じる方や、まず生活スキルをしっかり身につけたいという方は、自立訓練を活用してから就職や就労支援に進むルートを選ぶ場合があります。
学校という枠組みからいったん離れ、地域で自立した生活を送るための力をつける場として、自立訓練は有効です。
通院により症状が安定してきた方
精神疾患などで通院しながら療養を続けてきた方が、症状の安定とともに「次のステップへ進みたい」と考えるタイミングで自立訓練を利用するケースも多くあります。
「外出できる日が増えてきた」「日中の過ごし方を変えたい」という段階から利用をスタートすることができます。
ひきこもり状態から社会参加を目指す方
長期にわたってひきこもり状態にある方も、自立訓練の利用対象になりえます。まずは週1〜2日の通所から始め、徐々に社会との接点を増やしていくことができます。
「いきなり就労は難しいけれど、家の外に出る練習をしたい」という方にとって、自立訓練の事業所は安心して踏み出せる場です。
障害者手帳がなくても利用できる?
医師の診断書があれば利用可能なケース
自立訓練(生活訓練)は、障害者手帳がなくても利用できる場合があります。厚生労働省の事務処理要領では、障害者手帳がない方の障害確認書類として、医師の診断書(精神障害者であることが確認できる内容、ICD-10コードの記載等)が認められています(※3)。
「手帳を取得していないから無理だろう」と諦めていた方も、ぜひ一度、お住まいの市区町村の障害福祉窓口や自立訓練の事業所に相談してみてください。
自立支援医療受給者証での申請
精神通院医療の自立支援医療受給者証も、厚生労働省の事務処理要領上、障害者手帳がない場合の障害確認書類の一つとして位置づけられています(※4)。
ただし、最終的な支給決定は市区町村の判断によるため、自治体によって取り扱いが異なる場合があります。申請の際は、相談支援専門員や市区町村の窓口に確認するのが確実です。
受給者証の取得方法
自立訓練を利用するには障害福祉サービス受給者証が必要です。取得の流れや必要書類については、「自立訓練(生活訓練)の利用の流れ|相談から利用開始までの手順をステップで解説」(記事番号8)で詳しく解説しています。
年齢制限はある?何歳から何歳まで利用できる?
原則18歳以上が対象
障害者総合支援法第4条では、「障害者」を「18歳以上である者」と定義しており、自立訓練(生活訓練)は障害者を対象とする障害福祉サービスです。そのため、原則として18歳以上が利用対象となります(※1)。
18歳未満の取扱い
18歳未満の方は、原則として児童福祉法に基づく「障害児通所支援」等の障害児向けサービスが優先されます。ただし、児童福祉法第63条の2および第63条の3の規定により、15歳以上18歳未満の児童で、障害者を対象とするサービスを利用することが適当と認められる場合には、市町村の個別判断で自立訓練を利用できる場合があります(※3)。
65歳以上の取扱い
障害者総合支援法第7条により、障害福祉サービスのうち介護保険サービスに相当するものについては、原則として介護保険サービスが優先されます。
ただし、自立訓練(生活訓練)は同行援護・行動援護・就労移行支援・就労継続支援などと並び、介護保険サービスに同等のものがない「障害福祉サービス固有のサービス」として、厚生労働省の通知(平成19年「自立支援給付と介護保険制度との適用関係等について」)に明示されています。そのため、65歳以上でも障害福祉サービスとして利用が認められます(※5)。
実際の支給決定は自治体の個別判断によるため、お住まいの市区町村の障害福祉窓口に確認することをおすすめします。
なお、自立訓練(生活訓練)の標準利用期間は24ヶ月(2年)で、長期入院者等の場合は36ヶ月(3年)です(※2)。
アルバイトとの併用はできる?
法令上の禁止規定はないが、実態は両立が難しい
自立訓練(生活訓練)とアルバイトの併用について、厚生労働省が法令で一律に禁止しているわけではありません。ただし、自立訓練(生活訓練)は通常、平日の日中時間帯(例:10時〜16時など)に通所する形で行われるため、フルタイム就労との両立は実質的に困難です。
これに対し、就労移行支援は厚生労働省が「単独で就労することが困難な者」を対象としているため、原則としてアルバイト併用が認められていません。自立訓練(生活訓練)と就労移行支援は趣旨・対象が異なるため、混同しないよう注意が必要です。
自治体による判断の違い
夕方や夜間の短時間アルバイトについては、自立訓練の通所に支障が出ない範囲で認められるケースもあります。ただし、判断はお住まいの市区町村が個別に行うため、自治体ごとの運用に違いがあります。
「現在アルバイトをしているが自立訓練を利用したい」「通所中に少しだけアルバイトをしたい」といった場合は、事前に市区町村の障害福祉窓口や相談支援専門員、希望する事業所に相談することを強くおすすめします。
併用する場合の注意点
仮に併用が認められたとしても、就労時間と通所時間が重なったり、体力的な負荷が増したりすることで、体調を崩すリスクがあります。無理のない範囲で調整しながら、まずは通所の継続を優先させることが、長期的な回復・自立への近道です。
自分が対象者かどうか確認する方法
市区町村の福祉窓口に相談する
「自分は対象になるの?」と思ったら、まずはお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に相談するのが第一歩です。窓口では、利用条件の確認・必要書類の案内・申請の流れを教えてもらえます。
「どんなことを相談すればいいかわからない」という場合でも、現在の生活状況や困りごとを率直に伝えるだけで構いません。
相談支援専門員に相談する
相談支援専門員は、障害福祉サービスの利用計画(サービス等利用計画)を作成する専門職です。利用条件の確認から手続きのサポートまで、伴走して支援してもらえます。
相談支援事業所は市区町村ごとに設置されており、計画相談支援は無料で利用できます。福祉窓口で紹介してもらうことも可能です。
事業所に直接相談・見学する
自立訓練の事業所に直接問い合わせて、見学や相談の機会を持つことも有効です。「利用できるかどうかわからない」という段階での問い合わせも大歓迎の事業所がほとんどです。
メルディアライフネスト浦和では、見学時にEQS(生活能力評価)を体験することができます。EQSは「心のしなやかさ」「コミュニケーション能力」「困難に立ち向かう力」の3軸で自分の生活能力を客観的に把握できる、メルディア独自のツールです。見学の段階から「自分の今の状態」を見える化できるため、支援の方向性を具体的にイメージしやすくなります。
メルディアライフネスト浦和の対象者と利用者像
どんな方が通所しているか
メルディアライフネスト浦和(埼玉県さいたま市浦和区・北浦和駅東口から徒歩4分)には、精神障害・発達障害・知的障害・高次脳機能障害・難病など、さまざまな障害のある方が通所しています。
「退院したばかりで外出に慣れていない」「特別支援学校を卒業したばかりで次の一歩を探している」「長年のひきこもり状態から変わりたい」といった、幅広いニーズに対応しています。障害者手帳がなくても、医師の診断書があれば利用できるケースがあります。
EQSで現状を「見える化」し、S.I.Pで一人ひとりに合った支援を組み立てる
メルディアライフネスト浦和では、独自のEQS(生活能力評価)を活用して、一人ひとりの現状と課題を3軸で整理します。「何ができていて、何が難しいのか」を客観的に把握することで、個別支援計画の方向性が明確になります。
さらに、S.I.P(Self-Insight Program)と呼ばれるマンツーマンのオーダーメイドプログラムにより、自己理解を深めながら、できることを増やし、安定した日常を目指していくサポートを行います。
また、メルディアライフネスト浦和では「リービングネストプログラム」という4段階のステップで進路までを支援します(基礎ステージ/体験ステージ/探求ステージ/始動ステージ)。生活リズムを整える段階から進路に向けて歩み出す段階まで、無理のないペースで一歩ずつ進んでいけます。
具体的なプログラム内容(ライフプログラム、SST、集団認知行動療法、フィジカルプログラム、ITスキル等)については、「自立訓練(生活訓練)のプログラム内容とは?SST・認知行動療法など具体例を紹介」(記事番号6)で詳しく解説しています。
「対象外かも」と思っても、まず相談することが大切
自立訓練(生活訓練)の対象者について、ここまで詳しく解説してきました。「障害者手帳がないから無理」「年齢が心配」「今の状態で通えるか不安」——そういった不安を持つ方も多いのですが、平成30年の制度改正以降、対象の幅は広がっており、手続きの方法も柔軟です。
大切なのは、まず一歩踏み出して相談してみることです。窓口や事業所への問い合わせは、利用を決めることを強制するものではありません。「話を聞いてみる」という気持ちで十分です。
メルディアライフネスト浦和では、見学・無料相談を通じて「自分に合っているかどうか」をじっくり確かめていただくことができます。EQSによる生活能力の見える化も、見学の時点から体験可能です。
まとめ|「自分にも利用できるかも」と思ったらまず相談を
自立訓練(生活訓練)の対象者は、精神障害・発達障害・知的障害・高次脳機能障害・難病など多岐にわたります(平成30年4月の制度改正で障害種別を問わず利用可能になりました)。障害者手帳がなくても医師の診断書や自立支援医療受給者証があれば利用できる場合があり、原則18歳以上で、65歳以上でも障害福祉サービス固有のサービスとして利用が認められます。
退院・退所後の方、特別支援学校卒業後の方、ひきこもり状態から社会参加を目指す方など、さまざまな状況の方が自立訓練を活用しています。「自分は対象外では?」と思っていた方も、ぜひ一度窓口や事業所に相談してみてください。
北浦和駅から徒歩4分のメルディアライフネスト浦和でも、見学・無料相談を随時受け付けています。EQSによる生活能力評価も見学時に体験でき、自分の現状と支援の方向性をいっしょに整理することができます。
メルディアライフネスト浦和では見学・無料相談を受付中です。お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ:https://mlda.jp/mlninquiry/
この記事はメルディアライフネスト浦和のスタッフが監修しています。
出典一覧
※1 e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(第4条・第5条第12項)
https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000123
※2 厚生労働省「自立訓練(機能訓練・生活訓練)に係る報酬・基準について≪論点等≫」(令和2年9月11日 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム第14回 資料4)
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000670106.pdf
※3 厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について(事務処理要領)」(最終改正:令和7年9月)
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001571725.pdf
※4 厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について(事務処理要領)」(平成24年4月版・障害確認書類の記載部分)
※5 厚生労働省「高齢の障害者に対する支援等について」(社会保障審議会障害者部会 第116回 資料2)





