ドラマ『ライオンの隠れ家』から考える『きょうだい児』
こんにちは。カウンセラーの小川です。
最近『ライオンの隠れ家』というドラマを見ました。自閉スペクトラム症の青年とその兄を中心としたドラマで、ちらりと見た時に演技のリアリティがすごいと思い、これは見ないと!と思い見始めました。(このあとネタバレ含みます!)
◆『ライオンの隠れ家』最終回のこと
どういうラストにするのかなと思っていましたが、ひとつの形を見せてくれた、とわたしは思いました。
メインキャストの3人(自閉スペクトラム症の青年、そのお兄さん、虐待を受けた子ども)が、それぞれ3方向に自分の道を歩いていくというラストでした。実際にはここまでスムーズにいくのは難しいと思いながらも、どこかホッとしたところがありました。
障がいのある青年は自ら希望してグループホームに入り、その兄は家族のために一度諦めた勉強に対して再チャレンジを決め、虐待されていた子は、無事小学校へと向かうという姿を見せてくれました。
◆きょうだい児のこと
本当に様々なテーマを扱ったドラマでしたが、一番印象に残ったのはきょうだい児のことでした。
兄のひろとさんは、刺激に弱くパニックを起こしやすい自閉スペクトラム症の弟がいて、両親が他界しており、刺激を与えないよう、弟を日常の軸にするという状況からドラマがスタートしました。
『きょうだい児』とは、障がい児・障がい者の兄弟姉妹を指す言葉です。子どもでも大人でもこのような呼び方をします。
あえてこういった呼称が出て来た背景としては、障がいのある兄弟姉妹がいる方で、悩まれる方が多くいたということだと思います。
障がいの有無関わらず兄弟姉妹がいることで悩む人もいるわけですが、ただ、他者への話しづらさや共有の難しさが複雑にしがちということで、悩む方々の共有のためにこういった呼称ができ、悩んでいるのは自分だけじゃないんだ、と思えるきっかけになったのではと思っています。
なので、これは人から「あなたはきょうだい児」と言われるものではないと思っていて、ご自身が「あ、わたしきょうだい児なんだな、それで悩むことはあることなんだな」と認識することで少しホッとしたり、その親や関わる人が対応を考える際に参考にするものだと思っています。
ドラマの中で兄であるひろとさんは、ただ生まれた境遇から自分のことより家族のことを優先し、それが当たり前の日常でした。それが様々な人との関わりの中で「自分」のことを見つめ始める過程と結末は、こんなきれいには行かないよ!という思いも抱きつつ、近しい境遇にある方には特に考えるきっかけになるものだったのではないでしょうか。
弟はグループホームへ、自分は大学へ。兄のひろとさんは弟のことが嫌いな訳でも冷たい訳でもありません。
「先ず自分」これは障がいのある方の家族に向けて、常に伝えたいメッセージだと思います。
◆障がいのある子をもつ親御さんへ
このような話をしていると、障がいのある子をもつ親御さんで、かつご兄弟がいる方を心配させてしまうなぁと思ったりもしますが、全員に問題が起こる訳ではなく、生きていれば様々な悩みがあり、その中で生じやすい悩みであることを認識しておくことで、問題に対処しやすくなると思いますので安心してください。
これからの家族のあり方などで気になるな、と思った方はぜひご相談ください。
◆カウンセリングの活用
わたしたちメルディアウェルネスは、障がいのある方だけではなく、その周囲の方々の悩み、生きづらさというところにも目を向けています。
軸はどこにあるのか、考え方の偏りなど、他者の視点を入れることで見えなかったことが見えてくることがあります。
過度に責任を感じすぎていないか、過度に罪悪感を持ちすぎていないか、そういったところを確認したり整理するためにも、カウンセリングを活用してみてくださいね。
よい一日を。