怒りから自分を知る~アンガーマネジメント
こんにちは。カウンセラーの小川です。
最近、TBSの『19番目のカルテ』というドラマを観ています。
ドラマのメインとなる総合診療科という科は、主に何科に行けばいいのかよくわからない方が行くところらしいですが、とにかく「よく話を聞く」ということが重視されているようです。
「これはカウンセリングじゃないので」というセリフもあり、あくまで病気の治療に活かすため、という点が大きな違いだとは思うのですが、よく話を聞くというのは大切だなー。なんて思いながら観ています。
患者さんの家族がプリプリ怒っているシーンも先日ありましたが、今日のテーマは「怒り」です。
最近怒ったこと
さて、最近何かに対して怒りましたか?苛立ちとも似ているかもしれません。
怒りを外に出さなかったとしても、内に秘めた怒りも含めてちょっと思い返してみて下さい。
「怒り」の興味深い点は、転んで痛い、などの感覚とは違い、その人の「価値観」や「認知」に大いに左右されるという点です。
同じことがあっても、すごく怒る人と全然怒らない人がいる、ということです。
最近あなたが怒ったことは、どんなことにあてはまるでしょうか。
- 理不尽な出来事だと感じた
- 自分の思い通りにならなかった
- バカにされた、見下された
- 理解できないことがあった
- 自分や近しい人を傷つけられた
とてもざっくりとした枠になりますが、怒っている時は「許せない!」という思いに近いですよね。
こだわりの強い人程この怒りは強くなります。許せない範囲が広いからです。
自分が怒りを感じた出来事から、何を自分は大切にしていて、どういったことを許せないのか、実は自分の価値観を知るよい機会になります。
怒りから知る自分
怒りの裏には実は「痛み」が隠れていると言いますが、悲しい、寂しい、情けない、惨め、そういった感じたくない感情を隠すように怒りが表に現れています。
自分の大切にしているもの(価値観)が、傷つけられた時に怒りが出ることが多いため、怒りで悩む方がカウンセリングにお越しになる時には、最近怒ったことをメモしてきていただいて、それを一緒に深堀させていただくこともあります。
例えばAさんが「メールの返信がその日のうちに返ってこない」という出来事について激しく怒ったとします。なぜそこまで怒ったのかというと、
- 普通その日のうちに返信するだろう
- すぐ返信しないなんて自分のことを軽く見ている
- 返信しない人のことを理解できない
このような想いが沸いたから、かもしれません。
Aさんの価値観として想定できるのは以下です。
- メールは当日中の返信がマスト
- 自分はメールをきちんと返信するように心がけている
- 大した内容や大事な相手でなければ返信しない(または後回しにする)
いかがでしょうか。Aさんはこのような価値観を持っていて、そのために「メールの返信が遅い」ということに対して激しく怒ったりします。
良い悪いではなく、そういう価値観を持っている、ということです。
自分の怒りを紐解くことで、その怒りが軽くなることもあります。これってそんなに大事だっけ、という問いかけだったり、いや、これは大事だから怒ってもいいのだ、と思うところだったり、譲れないものと譲れるところが見えてくると怒りの軽減につながりますよ。
怒りは才能
とはいえ、「怒り」という感情は完全な悪者ではありません。怒る人はエネルギーがあります。怒りが原動力となって物事を始めたり、成し遂げたりする人もたくさんいます。怒りは才能とも言える面があると思うのです。
ただ、本当に怒りのパワーは強いので、様々なものを壊す力も持っているということを忘れずに、何かを壊してきてしまった方、怒りの感情で自分自身が苦しいという方は、ちょっとその怒りに向き合ってみてはいかがでしょうか。
せっかくエネルギーを持っているのですから、上手に扱えたらいいですよね。
よい一日をお過ごしください。