障がい者にとって重要なことの一つは、安全な交通手段の確保 –シンガーソングライター 水越けいこ
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トピックス2024年06月10日
交通手段が障がい者の将来を妨げないように
私たち親子が長年暮らしているこの街には、JR線と私鉄線の駅があります。もし息子の麗良が毎日利用するとしたら、どちらの駅も歩くにはちょっと遠いかなという距離なので、息子は通勤にバスを利用しています。
東京都内は電車もバスも便利ですが、半面、交通量が多い分、遅延や渋滞などの交通トラブルがあり、最悪の場合、交通事故などの心配もあります。特に障がいを持つ子どもを1人で出掛けさせるまでには、熟考と多くの苦労をされたことでしょう。親は最初に「子どもを安全に目的地まで行かせたい」と考えます。そのためには、自分が通学通勤に付き添えばいいのですが、やがて、「それでは子どもの自立につながらない」とも思い始めます。
障がいを持つ子どもは、能力、体力ともに千差万別です。また、それぞれの家庭や居住地によっても、環境が変わってくるので「○○くんは電車で通っている」とか「△△さんは大通りを渡るまでは送り迎えをしている」などという知人などから聞く具体例が参考にならないのです。つまり、人のやり方をまねするのではなく、我が子の生活に合うだろう最良のブランを与えなければなりません。大抵の子どもたちは、自分ではブランを決められませんからね。
障がい者の交通手段は、子どもや大人、知的や身体の障がいに限らず、学校選びや職場探しに直結するほど重要なことです。逆に言えば、障がいを持つ方が少しでも希望する学校や職場に通える可能性、彼らが明るい未来を描ける可能性を増やすには、安全な交通手段が必要です。安全な交通手段を確保するために必要で最も大切なこと・・・、それは「優しさを持ち寄ること」だと私は思っています。