マクドナルドのチャレンジクルーになったダウン症の高校生
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トピックス2024年11月25日
店内に「おはようございます」と渡邉佑樹さん(20歳)の明るい声が響きます。佑樹さんはダウン症を持っています。トレイ拭きや店内の掃除を担当して3年目。バックヤードを支えています。
きっかけはマクドナルドでの職場体験
渡邉佑樹さんが働いているマクドナルド経堂駅前店は、クルー(アルバイトスタッフ)人数は150人、席数は240席の東京都内でも2番目に大きい店舗です。
佑樹さんの仕事は、トレイ拭き、テーブル拭き、店内の掃除、ハッピーセットの箱を作ったり、おもちゃの整理など多岐にわたります。覚えることは得意なので、教えてもらったことを何度も繰り返しながら覚え、3年目の今は、できることが増えました。障がいはありますが、働く一員として自分の能力を発揮しています。
佑樹さんがクルーになったきっかけは、中学2年生のときに授業の一環で職場体験をすることになり、この店で働いたことがあったから。当時を母親の範子さんはしっかりと覚えているそうです。「佑樹の職場体験を受け入れてくれる企業が見つからず困っていました。学校からは、親の方で探してほしいと言われてしまって…。途方に暮れていたときに、私の職場の近くで毎日前を通っていたこちらのお店に相談したんです。佑樹に新しいことを経験するチャンスを与えて欲しいという気持ちを伝えたところ、当時の店長さんが、障がいのことも理解してくださって快諾してくれました。そして体験の最終日に『高校生になってアルバイトができるようになったら、また一緒に働こう』と誘ってくれたんです」
佑樹さんにできることは限られるけれど、それでも受け入れてもらい、働ける場所があるのだと、将来に向けての光明が見えた忘れられない職場体験だったと話してくれました。
そして都立荻窪高校(定時制)1年生になった佑樹さんは、本当にマクドナルドのチャレンジクルー(障がい者クルー)として働き始めたのです。現在は週に2回、午前9時から2時間のシフトで続けています。
個性は多様だから、自分の能力を発揮すればいい
佑樹さんの採用を決めたのは、現店長の白鳥隆之介さん。クルーとして働かせてもらいたいという意向を受けたときに、ひとつだけしっかりと確認したことがあったそうです。白鳥店長としては、範子さんが佑樹さんの自立を考えてマクドナルドで働かせたいという気持ちは理解できるけれど、大切なのは佑樹さん自身にやる気があるのかです。すると佑樹さんは「やる」とはっきり答えたのです。
さらに、職場体験時に佑樹さんを見守っていたベテランクルーからの進言もありました。「私は、それまで障がいを持っている方と一緒に働いた経験がありませんでした。佑樹君としては、クルーとして頑張って働こうというチャレンジだったと思いますが、私自身も店長として、また一緒に働く仲間として、佑樹君とどう向き合うかというチャレンジでもありました」(白鳥店長)
マクドナルドの障がい者雇用の取り組み
マクドナルドと言えば誰もが知るハンバーガー・レストラン・チェーン。全国に約3000店舗を展開し、「クルー」と呼ばれるアルバイトスタッフは20万人を超えています。「マクドナルドは、『人が企業の成長をつくり、企業を支えるのは人そのものである』という考えのもと、すべての人の成長を価値あるものとして大切にし、全力でサポートしています。障がいのある、なしに関わらず、さまざまな違いを超えて、一人ひとりが尊重され、多様な個性と能力が発揮できる組織づくり、職場環境の提供に努めています」と日本マクドナルド株式会社コミュニケーション&CR本部本部広報部マネージャーの石黒友梨さん。チャレンジクルーの中には、勤続20年のベテランもいます。