発達障がい児(者)が安心して通える理美容室「発達凸凹さんヘアカット」
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トピックス2024年03月25日
髪を触らせてくれない、知らないところには足を踏み入れられないというお子さんから、店内に入れても、じっとしていられない、騒いでしまうというお子さんまで、発達凸凹さんのヘアカットは保護者にとって大きな負担になっています。発達凸凹さんと保護者の支えになってくれる「発達凸凹さんヘアカット」というサーチサイトをご存じですか。
<NPO法人セルフ代表 安永康子さん「バリアフリーの美容室の経営、発達障がい児童の余暇支援、障がい理解の啓蒙・啓発などを行っています」>
<発達凸凹さんヘアカット運営委員 渡辺そらさん「困っている女性を助けたいというのが活動の原点。お母さまが困っていると知り、受け入れを始めました」>
障がいを理解してサポートできる理美容師がいます
最初に、今まで子どもの散髪を断られ続けてきたけれど、障がい児を理解し受け入れてくれる美容院を見つけ、髪を切ることができたという保護者の声から紹介しましょう。「重度知的障がいとASDの息子は、ハサミを怖がり、頭を振って嫌がるので、家庭で赤ちゃん用のヘアカッターを使い、形を整える程度でした。小学2年生になり、ダメ元でもとカットをお願いしました。小さなバリカンを使ってカットするのですが、いざ切ろうとすると頭をぶんぶん振り回す息子。やっぱり無理かなと思ったのですが、ちょっと落ち着いた瞬間に素早く切って、無事に終了。カットの翌日には、学校でみんなからカッコよくなったと褒めてもらったそうです。私もとっても嬉しかったです」
こうした声が多数寄せられているのは、NPO法人セルフが立ち上げた障がい児を受け入れる理美容室を紹介しているサーチサイト「発達凸凹さんヘアカット」です。
代表であり、佐賀県で『ヘアルームセルフ』を経営する安永康子さんは、発達障がいの子どもだけでなく、知的障がい者、身体障がい者、さらにがん患者など、2万人以上の〝事情があって髪を切れない〞方たちを受け入れてきました。「私の三男が重度知的障がいとASDです。同じような境遇で知り合ったたくさんのママたちから、子どもの髪を切ってくれるサロンがなくて困っているという相談を受けました。
特に感覚過敏や多動の特性を持った子どもたちは髪を切ることが難しいのですが、私ならできるのでは…と始めたのがきっかけです。
20年以上続けてきて、『発達障がい専門美容師』と名乗らせていただくようになりました。私のところには、佐賀県内だけでなく九州各地から通ってきてくださる発達凸凹さんと保護者の方がいます。
でもわが子の髪を切ってほしいという保護者の方は全国にいます。もっともっと発達障がい児の髪を切ってくれる理美容師さんがいればいいのに。幸い私には、積み上げてきた経験に裏打ちされた『発達障がいの特性理解と支援方法』のスキルがあります。それを全国の理美容師さんに向けて公開して、ともに活動してくれる仲間を増やしていきたいと考えるようになりました。そして少しずつですが、その活動が実を結び、障がいのある子どもたちを理解し寄り添う理美容師さんが増えつつあります。もっともっと増やしたい!」
社会に出るための最初の一歩がヘアサロン
安永さんの活動に早くから賛同し、発達凸凹さんを積極的に受け入れてきた渡辺そらさんの美容室は、3歳〜37歳までの40人以上の障がい者の顧客がいます。「じっとしていられないお子さんは、テラス席やソファで切ることもあります。お一人1時間の枠ですが、平均すると20分前後です。シャンプーを嫌がる子は、ドライヤーでブワーッと髪を飛ばしてしまいます。個性豊かな子どもたちなので、どんなことをされるのが嫌で、どうしたら受け入れてくれるのかというツボを見逃さないのが、とても大事なんです。そのために保護者の方とのアセスメントは丁寧に行うように心がけています。最初はまったく髪を触らせてくれなかった子が、前髪を切らせてくれたり、おとなしく椅子に座ってくれるようになると、保護者の方と一緒に大喜びします。最近ですがキャンピングカーを購入しまして、この車で出張カットをしたいと考えています」
うちの子でも、カットできるかしら…という心配に対して、安永さん、渡辺さんは口を揃えてこう応えてくれました。「小さいうちは保護者でもカットできますが、小学校高学年になると、難しくなります。そこを考えて、できるだけ早いうちに理美容室に慣れさせてあげて欲しいです。発達障がい児が社会に出る第一歩はヘアサロンからと保護者の皆さんにお伝えしたいですね。ぜひ『発達凸凹さんヘアカット』で、お子さんが通える理美容サロンを探してください」