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仙台で一番混んでいるレストランは、障がい者が活躍する場所でした「自然派ビュッフェレストラン『六丁目農園』」

トピックス2024年03月25日

「障がい者雇用の実現」を目標に、就労継続支援A型、B型事業所、放課後等デイサービス、障がい者グループホームなどを運営している株式会社アップルファーム。その中核を担う自然派ビュッフェレストラン「六丁目農園」では、障がい者の方々が生き生きと働いています。 




<ピザ窯担当の山田 雄太さん「ガラス越しに、お客さまがにこにこして食べているのが見られて、とても楽しい職場です」>



<ホール係の小野 絵美子さん「入社して13年になります。食器がどんどんきれいになっていくから、洗い物が大好きです」>



<代表取締役の渡部 哲也さん(左)と、取締役経営企画部長の渡部 将也さん(右)>

他の飲食店が撤退した場所で障がい者が繁盛レストランを作る

 仙台駅から車で約20分。仙台東インターチェンジ入口にある商業物流倉庫街に、株式会社アップルファームが経営する自然派ビュッフェレストラン「六丁目農園」があります。代表取締役の渡部 哲也さんは、ここに出店した理由を「ここは、飲食店にとって三等立地です。かつてここには高級イタリアンレストランがあったのですが、客足が少ないため、長年、空き物件になっていました。そこで、多くの障がい者の雇用を考えていた私たちが借りたのです。レストランとして良い場所は家賃が高く、狭いため、多くの障がい者を雇用することができません。広くて安いここがちょうどいいと考えたのです」と話してくれました。

 そんな立地にありながら、また、広告もせず、目立つ看板もない中で、平日の昼でも74席が2回転もする人気レストランとなりました。「ここは、ランチ営業しかしていないのですが、多分、仙台で一番混んでいる店だと思います」と渡部哲也さんはほほ笑みます。

 実は、障がい者が働くレストランでありながら、2023年まではそれを前面に打ち出してはいませんでした。取締役経営企画部長の渡部 将也さんは「企業力や味で勝負したいという思いが強かったため、福祉事業所のレストランであることは強く公表していなかったのです。多分、7割近くのお客さまがご存じなかったと思います。でも、彼らが活躍する姿も見ていただきたいと、今では店内装飾などにも福祉カラーを入れています」と教えてくれました。

苦手を排除したら、ビュッフェレストランになった!

 障がい者を納税者にという思いからレストランを始めたとおっしゃる渡部 哲也さんですが、数ある飲食店の中でも、なぜビュッフェレストランを選んだのでしょうか。「私はもともと食材の輸入卸をしていました。次に、その食材を使った居酒屋を始め、その後さまざまな外食産業を手がけたのです。ちょうどその頃、義弟が交通事故から高次脳機能障がい者となりました。そんな義弟を見ているうちに、障がい者が働けて、飲食店としても成立する事業を手がけたいと思うようになったのです。

 障がい者を観察していると、苦手なことが2つあることに気がつきました。それは、『接客』と『臨機応変な対応』です。これは飲食店にとっては致命的。そこでひらめいたのがビュッフェレストランでした。ビュッフェ形式にすれば接客の必要はほぼありません。料理もオーダーを取ってから作るのではなく、事前に準備をしておくことができます」と渡部 哲也さん。

 また、「福祉事業所の悩みとして、野菜を作って余る、クッキーを焼いたけど売れない、年に数回のバザーでしか販売チャンスがないという話を耳にしました。そんなことになってはいけません。そこで、野菜をふんだんに使った自然派ビュッフェレストランを作れば、別の福祉事業所で作った野菜を全量買い取ることができます。皆さんが気にする健康をテーマにすれば、お客さまに響くだろうと考えました」とも言います。そうして立ち上げたのが、自然派ビュッフェレストラン「六丁目農園」だったのです。

福祉事業所の強みを生かせるビュッフェレストラン

 料理の提供方法にも工夫がなされています。「視察でビュッフェレストランを回ると、和食が多いことに気づきました。木皿を使うなど、イメージは茶色です。しかし、他にはない店にしたいと思ったため、洋食のビュッフェで、店のテーマカラーも白にしたのです。また、丸皿だと料理を盛ったときにグチャグチャでおいしくなさそうに見えるため、9分割された皿を選びました。こうすることで、きれいに盛り付けられるため、皆さん写真を撮ってSNSにあげてくださいます。料理を取り過ぎて、食べ残す心配もありません」と言いつつ、「実は、ビュッフェは陳列商売なので難しく、撤退していく店が多いジャンルです。料理が並んでいないと食べていただけないし、残り物を食べたくないという心理から大皿に少しになった料理は余ってしまいます。それをいかにうまく回すか、つまりロスコントロールがカギになる商売なのです。

 ところが、弊社の場合、ランチが終わったら賄いとして20数名が残った料理を食べるので、ロスがほぼ出ません。逆にいうと、賄いの量を調整しながら、お客さまに料理を提供しています。ですから、お客さまから見ると、いつも、ある程度の料理が大皿に載っているという状況になります。賄いで食べるというのは、福祉事業所の強みですね」と渡部 哲也さんは笑います。

 「福祉事業所の強みは、人がたくさんいることです。これをお客さまの付加価値にどう変えるかが、経営陣の仕事だと思っています。そうすれば福祉事業所でも収益は上がります。ないものを欲しがるのではなく、今ここにある強みをいかすことが重要ではないでしょうか」と渡部 哲也さんはきっぱりと言い切りました。

 ナポリピッツァを焼くために一人の従業員が釜にはりついていたり、でき立てを提供するために小さなポーションで何度も運んだりと、確かにおいしさを確保するために人手を掛けていました。こうすることで、パスタがのびることもありません。

 小さなポーションで提供するため、品数が多くなります。大皿を入れ替えるときは、別メニューが出るため、お客さまは食べきれません。そのため、「全部食べられなかったね、また来よう」と言って帰るお客さまが多いのです。その会話を聞いて、さらに、にこにこしているお客さまを見て、やり甲斐を感じる障がい者スタッフ。自然派ビュッフェレストラン「六丁目農園」は皆が幸せになるレストランでした。

 

自然派ビュッフェレストラン「六丁目農園」

株式会社アップルファーム

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