ADHDの人はなぜ料理が苦手?「同時進行」が難しい理由と工夫
こんにちは。カウンセラーの芳川です。
今年の夏はスイカがマイブームで、気づけば週2〜3回食べています。
本当は大玉スイカを買ったほうがコスパは良いのでしょうが、冷蔵庫に入りきらないので、小玉スイカかカットスイカを買いがちです。
さて、今回は「ADHDと料理」についてのお話です。
「料理を始めると、なぜか予定より時間がかかる」
「一品に集中していたら、別の料理を焦がしてしまった」
「レシピを見ながら作っているのに、途中で何をしていたのかわからなくなる」
このような経験はありませんか?
一言で料理と言っても、たくさんの作業を同時に進める必要があります。
献立を考える、必要な食材を準備する、切る、炒める、煮る、味付けをする。
さらに、「お湯が沸くまでに野菜を切る」「煮込んでいる間に洗い物をする」など、複数の作業を並行して進めることも求められます。
そのため、ADHDの特性がある人にとって、料理は負担を感じやすい家事のひとつです。

料理が難しくなりやすい理由
ADHDのある人は、複数の情報を頭の中に一時的に置いておくことや、作業の優先順位をつけること、時間の経過を意識しながら行動することに難しさを感じる場合があります。
こうした料理の難しさには、「ワーキングメモリ」や「実行機能」などが関係していると考えられます。
ワーキングメモリとは、必要な情報を一時的に頭の中に置きながら、作業を進めるための機能です。
例えば料理中には、
「今、鍋を火にかけている」
「あとで調味料を入れる」
「次は冷蔵庫から卵を出す」
といった複数の情報を覚えながら、目の前の作業を進める必要があります。
しかし、料理中には次々と新しい情報が入ってきます。
フライパンから音がする。冷蔵庫を開けたら別の食材が目に入る。洗っていない食器が気になる。
すると、それまで頭の中に置いていた「次にやること」が抜けてしまい、別の作業を始めてしまうことがあります。
また、実行機能とは、目標に向かって行動を計画し、順序立てて進めたり、状況に応じて行動を調整したりするための機能です。
料理では
「どの料理から作るか」
「何を先に切るか」
「煮ている間に何をするか」
「何時から始めれば食事の時間に間に合うか」
など、短時間のうちにたくさんの判断が必要になります。
さらに時間の経過を感覚的につかむことが難しい場合には、「少しだけ」のつもりが長時間経っていたり、30分で作る予定が1時間以上かかってしまったりすることもあります。
例えば、
・お肉を焼きながら、野菜を切る
・鍋の様子を気にしながら、副菜を作る
・炊き上がりの時間から逆算して調理を始める
料理では、このような判断を短時間に何度も繰り返します。
「あれもやらなきゃ」「これも先にやったほうがいいかも」と次々に気になることが増え、いろいろな作業に手をつけた結果、どれも中途半端になってしまう、なんてこともあります。
料理が苦手なのではなく、料理という作業自体が、ワーキングメモリや実行機能、時間管理など、複数の認知機能を同時に必要とする活動なのです。
「炊飯器」を時間管理の目印にしてみる
料理に時間がかかりすぎてしまう人は、炊飯器を時間管理の目印として使う方法があります。
炊飯器をセットしたら、料理開始。
そして、ご飯の炊き上がりを料理終了の目安にします。
「ご飯が炊き上がるまでに、メインのおかずと汁物を完成させる」というように、最初からゴールを決めておきます。
キッチンタイマーは、設定した時間になると音で知らせてくれます。
一方、炊飯器は、炊飯中の音や蒸気、料理中に感じるご飯のにおいなど、時間の経過に気づくきっかけが複数あります。
そして何より「炊き上がったご飯」という目に見えるゴールがあります。
時間だけを意識し続けるよりも、「ご飯が炊けるまで」という具体的な区切りがあるほうが、行動しやすい人もいます。
全部を同時に作ろうとしなくてOK
料理をするとき、「主菜を作りながら、副菜を作って、その間に洗い物もして……」と効率よく動こうとすると、かえって混乱することがあります。
その場合は、無理に同時進行をしないこともひとつの方法です。
例えば、最初にすべての食材を切る。
次に加熱調理をする。
料理が完成してから洗い物をする。
このように作業を分けることで「今は何をする時間なのか」が明確になります。
一般的に効率がよいとされる方法が、自分にとってもやりやすいとは限りません。
「ちゃんとした料理」の基準を下げてみる
料理が負担になっているときは、自分の中にある「料理はこうあるべき」という基準も確認してみましょう。
毎日違う献立を考える。
主菜と副菜を何品も用意する。
彩りや栄養バランスを毎食完璧に整える。
こうした条件が増えるほど、料理に必要な判断も増えていきます。
「よく作る料理を何種類か決めておく」
「副菜は市販品や冷凍食品も活用する」
「疲れている日は、工程の少ない料理にする」
選択肢を減らすことも料理を続けやすくするための工夫です。
苦手なことは、仕組みで補う
ADHDによる困りごとは、「もっと集中しよう」「忘れないようにしよう」と意識するだけでは、なかなか改善しないことがあります。
大切なのは自分がどこでつまずきやすいのかを知り、それに合わせて環境や手順を工夫することです。
時間の感覚をつかみにくいなら、炊飯器をゴールにする。
同時進行で混乱するなら、作業を一つずつ進める。
献立を考えることに疲れるなら、定番メニューを決めておく。
一品作るのでエネルギーを使うならお惣菜や冷凍食品を使う。
自分に合わない方法を無理に続ける必要はありません。
「どうすれば頑張れるか」ではなく「どうすれば迷わず動けるか」という視点で、自分に合った仕組みを探してみてくださいね。
一人で考えるのは苦手な方は、ぜひメルディアウェルネスにお越しください。
一緒に手立てを考えていきましょう。















